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“Path to Innovation”は、イノベーション・コンサルティング会社i.labが運営するWEBジャーナルです。

イノベーションに関連した、アイデア創出手法やマネジメント方法、さらに、おすすめの論文や書籍について紹介します。また、注目すべき先端技術や社会事象などについても、イノベーションが発生し得る「機会」としての視点から解説していきます。

Thoughts

「innovation lounge vol.3」イベントレポート

2017年に初開催しました、少人数の招待制トークイベント「innovation lounge」。年度末も差し迫る3月中旬に『Vision meets challenge』と題して、第3回を開催しました。これまで同様、登壇者や参加者、i.labのメンバーが一人ひとり交流しやすい規模を想定し、組織または個人としてイノベーション活動に関わられている方、30名程度をお招きし、登壇者プレゼンテーション後の懇親会でも、参加者同士により夜遅くまで活発な議論が繰り広げられました。

Jun Murakoshi / 2019.3.29

他社のイノベーション・プロジェクトの成功が自社内のイノベーション推進に追い風となる


イノベーションという言葉は日本国内の企業にもだいぶ浸透しつつあります。特に、この1ー2年、イノベーション創出を専門とした部署の立ち上げが急速に行われてきた印象があります。また、部署設立に依らずとも、各企業においては経営層からの推進指示や、一般社員による現状への危機感をきっかけとして、大小様々なプロジェクトや取り組みも活発に行われるようになりました。本イベントでは、同じくイノベーションに携わる社外の参加者と交流し、「他社のイノベーション・プロジェクトの成功が自社内のイノベーション推進に追い風となる」との考えの下、プロジェクトを相互に盛り上げ合える緩やかなコミュニティーづくりのきっかけにすると共に、登壇者・参加者の「人」にフォーカスを当てたものとなりました。

 

自ら会社を変えるという圧倒的な当事者意識を醸成したい


株式会社LIXIL Technology Research本部研究戦略部の石田進氏は、市場の縮小や異業種参入の脅威といった、LIXILを取り巻く環境の変化が活動をスタートさせたきっかけだと言います。既存事業進化では事業の縮小が予想される中で、潜在価値を創出し新たな事業領域を開拓する(イノベーションを起こす)ことが必須の課題であるとの認識の元、これまで次のような具体的な活動を行い、リアルな課題も見えてきました。事業領域の開拓に向けては、ポイントとしてロジカルなバックキャスト思考や生活者視点の「未来の暮らしシナリオ」を挙げられ、これまでi.labとは「機会と脅威の検討」、「未来の生活者クラスタの検討」、「事業コンセプトの検討」といったプロジェクトを協働してきました。また、自ら会社を変えるという圧倒的な当事者意識や未来思考へのマインドセット醸成に向けて、社内ではTechnology Exhibitionと銘打った、未来の暮らしプロトモデルや戦略技術の展示を行っています。さらに、未来シナリオやシナリオ策定プロセスなどを紹介した冊子Technology Reportの発刊や、活動内容の社内説明会・ワークショップの開催もしています。社外に向けてもCEATECでの展示を行っています。プレゼンテーションの結びには、社内の共感者をいかに増やしていけるか、現状はどの辺であるのかが紹介され、そこはトップダウンで進めるべきなのか、ボトムアップで挑むべきなのかなど、参加者との活発な質疑応答が行われました。

innovation_lounge_2株式会社LIXIL Technology Research本部 研究戦略部の石田進氏

 

価値起点のビジネス創出とイノベーション文化醸成に必要な社内施策の推進が待ったなしに必要


NTTコミュニケーションズ株式会社経営企画部ビジネスイノベーション推進室の大貫明人氏には、一昨年より始動したビジネスイノベーション推進室の活動内容や具体事例について発表いただきました。同室は自社内におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の先駆者として、次世代ビジネスを創造するとともに、DX文化・プロセスの浸透を推進しており、活動指針として、1)「コト」を常に追求、UXデザインを最優先、2)ピボット/失敗を肯定したプロセスで推進、3)社外プロダクト/リソースの積極的活用、4)アジャイル開発によるラピッドプロトタイピング、の4つをあげています。ビジネスイノベーションの実践と共に、DX文化の醸成として、新規サービスの創出や新規市場の開拓をしたい社員を支援するプログラム「BI challenge」を昨年9月にスタートさせています。その中では、設定したアイデア仮説からビジネス実証までのわかりやすいプロセス・ゲート基準の設定や、チーム活動のために場所やデジタルソフトウェアツールの提供、仮説検証のためにピンポイントに相談できるスポットコンサルの提供、必要な資金・稼働や異動を含めたヒトの支援、社外メンターや事業経験者によるメンタリングや個別相談など、最近イノベーションの文脈で雑誌等でも取り上げられることの多いNTTコミュニケーションズの攻めた活動の紹介には、参加者の皆さんも熱心に聞き入っていました。最後には、社外に向けて行われているOPEN INNOVATION PROGRAMの紹介、さらに大貫氏が社内人材募集の際に投げかけた熱い想いのメッセージともに締めくくられました。

innovation_lounge_3NTTコミュニケーションズ株式会社 経営企画部 ビジネスイノベーション推進室の大貫明人氏

 

大企業発の新規事業アイデアを「出島」的に事業化


株式会社RESONATURE共同創業者・代表取締役の新隼人氏には、i.labとクライアント企業との間で行われた新規事業創出プロジェクトで生まれたアイデア「冒険旅行サービスの提供事業」を例にして、どのようなステップや形態をとって事業化に至ったのかを具体的にご紹介いただきました。「心ふるえる冒険を」をビジョンに掲げる株式会社RESONATUREは、『「いつかやりたい体験」から逆引きできるワンストップ冒険旅行サービス』を提供する会社です。もともとi.labとクライアント企業の共創活動から生まれた成果の一つで、プロジェクト内でトライアルイベントといった仮説検証実験やビジネスモデル・サービスの詳細検討を行いました。プロジェクトのいくつかの成果はクライアント企業内で活かしていこうとなったものの、本アイデアに関しては現時点で、既存事業とのシナジーが弱いこと、またクライアント企業社内の組織再編などを理由に7ヶ月の活動休止を余儀無くされました。事業化に向けた議論の本格的な再開のおり、事業を「出島」的に開発する方法をとることで、急速に前向きのモーメンタムが生まれました。最終的には各社から一名ずつ(内一名は戦略的に副業として参加)の二人が株式会社RESONATUREを共同設立しました。サービス初期のメインのターゲットセグメントとしては、都市部のマンションに住む小学生以下の子供をもつ世帯としています。子供と一緒に自然の中でいつかやりたい体験がある。けれど、何をしたらいいか、どこに行ったらいいかわからない。道具もない。そんな人に、オススメのアウトドアレジャー(キャンプやハイキング)のプランを提案し、移動手段・必要な道具・場所をワンストップで提供する冒険旅行サービスoffto(オフトゥ)です。5月初旬にクラウドファンディング、9月に本格的なサービスインを予定しています。

サービスWebサイト:https://offto.jp/
Facebook:fb.com/offtojp
Instagram:instagram.com/offtojp

innovation_lounge_4株式会社RESONATURE 共同創業者・代表取締役の新隼人氏

 

第3回となったinnovation loungeですが、場所を新たに以上の内容をもって開催されました。当日は、プレゼンテーション後の質疑応答だけでなく、懇親会の場でも参加者間や登壇者との熱心な議論が行われていました。不定期とはなりますが、今後も開催を予定しております。本記事をご覧いただいた皆様の、次回ご参加を心よりお待ちしております。
Author
村越 淳

Jun Murakoshi
Jun Murakoshi Design, Product Designer

千葉大学大学院デザイン科学専攻修士。英国王立芸術大学院(RCA) Design Products科修士。千葉大学大学院工学研究科特任研究員、同大学国際教育センター特任助教、東京大学知の構造化センター特任研究員を経て現職。 Jun Murakoshi Designにて個人でのデザイン活動も継続して行っており、日本、欧州での展示や受賞多数。

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