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“Path to Innovation”は、イノベーション・コンサルティング会社i.labが運営するWEBジャーナルです。

イノベーションに関連した、アイデア創出手法やマネジメント方法、さらに、おすすめの論文や書籍について紹介します。また、注目すべき先端技術や社会事象などについても、イノベーションが発生し得る「機会」としての視点から解説していきます。

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職場を
生活の一部として捉える

皆さんはどのような環境でお仕事をされていますか。ノートパソコンやスマートフォン、さらにインターネットが劇的に進化したことによって、特定の場所にこだわらずに仕事をされている方もいらっしゃるかと思いますが、今回はi.labのオフィスについて簡単にご紹介したいと思います。

Jun Murakoshi / 2014.10.30

私は大手メーカーのインターン、デザイン事務所、大学を経験してきて、今i.labという職場で働いています。どの職場も規模や置かれていた立場が異なるので、私の働く場所に対するデフォルトの概念は希薄で、オフィスとはこういうものだという固定的なイメージは特になかったかと思います。オフィスは働く人にとって仕事がしやすい環境、経営者が求めるものが効率よく達成される空間、ここでなら働けるだろうという場所など、どれも創造する段階でコンセプトが大きく違います。ilabのオフィスを構えるにあたり、空間設計やインテリアデザインの専門性を持つメンバーがいない中で、私たちはまず家具部を設立することから始めました。

どう働くのか


i.labには家具部というものが存在します。オフィスを構える時にそこに設置する家具(やモノ)を考えること、延いては私たちはどう働くのかを考えることからスタートした部活です。いきなり空間を考えるのは難しいけれど、どう働くかは事業の内容からも想像できますし、室内に必要な機能はリストアップできます。そして、その機能を満たすモノは、プロダクトデザインを専門としている私が中心となって選択肢を提案し合いました。

私自身にとっては、一日のうち寝ている時間を除くと最も長く過ごしている場所がオフィスで、お昼や晩御飯を取ることもある場所です。そのような場が心地良いかどうかは、私の生活すべてに関わってくることだと考えています。

ランチは作って食べています

一般的に、オフィスのデザインはいかに仕事を効率的に進めるか、生産性を高めるか、コストを低く抑えるかなどの観点で行われてきました。一方でi.labではイノベーション創出を標榜しており、ロボットに取って代わられることのない仕事を追求しています。効率的で、質が高く、真似のできない創造性を発揮できる場所を考えた結果が、今のオフィスになりました。それを創造している時間もコストですから、限られた時間の中で得られた私たちにとってのベストな解であると考えています。

 

仕事内容に合わせて場所を変える


オフィス全景

i.labのオフィスは基本的にフリーアドレスを採用しています。インターンも含めメンバーは出社した順番に好みの場所で仕事を始めます。それぞれの仕事内容で行いやすい場所や、特定の場所でしかできない作業もありますので、そこは臨機応変に交代しています。大きなメインのテーブル(縦横比が2対1のテーブルを3台並設)、簡易デスク(折りたたみ式)、ソファ、窓際の立ち席が主な場所として挙げられます。私はメインテーブルとソファ、窓際で立ちながらの3つを気分と仕事内容で入れ替えています。眠気を感じたら立って外を見ながらパソコン作業することもありますし、アイデア創出に行き詰まったらベランダに出て考えます。ベランダがあるのは、一般的なオフィス物件ではなく、住居・SOHO用マンションの良いところですね。

時間の流れを感じられる場所


オフィスは東京大学からの距離を考慮して検索しましたが、残念ながら東京大学構内の緑樹が見える位置関係にはありません。その代わりではないですが、文化財の瀬川邸が窓外に広がっています。オフィスで最もお気に入りのポイントがこの景色かもしれません。

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室内手前側からですとその美しい緑の濃淡を観賞することはできませんが、そこは窓際の観葉植物イチローくんが光を蓄えた立派な葉で気持ちを和ませてくれます。些細な事かもしれませんが、オフィスの中から雲の流れや季節の移り変わりを確認してみる。時には目の前の樹木で鳥が何かを啄んでいる。職場を生活の一部として捉える上では大切にしたい日常です。

働き方や使用ツールの変化によって、仕事とプライベートを分けるのは難しくなっていますし、明確に区切ることが良いことなのか判然としません。仕事自体も複数掛け持つことがより一般化してくる中で、仕事とプライベートが複雑に絡み合っており、自分のすべての時間に暮らしを意識することは必然な流れのようにも感じます。時間とともにアップデートされる「どう働きたいか」のイメージをi.labではオフィスの中で体現しています。そのような思い入れのあるオフィスともまもなく2年の関係になりますが、明日、i.labはオフィスを引越します!
Author
村越 淳

Jun Murakoshi
Jun Murakoshi Design, Product Designer

千葉大学大学院デザイン科学専攻修士。英国王立芸術大学院(RCA) Design Products科修士。千葉大学大学院工学研究科特任研究員、同大学国際教育センター特任助教、東京大学知の構造化センター特任研究員を経て現職。 Jun Murakoshi Designにて個人でのデザイン活動も継続して行っており、日本、欧州での展示や受賞多数。

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「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に」と題する野村総合研究所の記事が話題になって、一年以上が経過した。○○デザイナーといった職業は、代替可能性の低い100種の中に比較的多く存在していた印象だが、プロダクトデザイナーとしてあらためて自分の未来の働き方(人工知能との関わり方)に思いを馳せてみた。

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