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“Path to Innovation”は、イノベーション・コンサルティング会社i.labが運営するWEBジャーナルです。

イノベーションに関連した、アイデア創出手法やマネジメント方法、さらに、おすすめの論文や書籍について紹介します。また、注目すべき先端技術や社会事象などについても、イノベーションが発生し得る「機会」としての視点から解説していきます。

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i.labでの働き方

Directorの寺田です。 COVID-19の影響で外出自粛の日々が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。i.labでは1か月以上にわたり原則在宅勤務をしています。 i.labは以前より比較的フレキシブルな働き方をしてきた方ですが、それでもスタッフ全員が毎日在宅で仕事をするようなことは今までにはなかったので、かなりのチャレンジです。 そんな中で、プロジェクトのミーティングやワークショップなど、オンラインツールZoomやAPISNOTE(i.schoolで開発されたオンライン付箋ツール)を使って実施しており、今までと同じ業務クオリティを担保するよう努めております。

Tomohiko Terada / 2020.5.22

多くの方が感じられていることと思いますが、今回の外出自粛の影響でこの先も世の中の働き方が大きく変わっていきそうな気配があります。それまではなかなか定着してこなかった在宅勤務が、COVID-19の影響で半ば強制的に始まったことで、「実は不要だった」業務が炙り出されてきたように思います。
そんな中で、本年度から私がi.labのHRを管掌することになったこともあり、今回i.labの人事制度の特徴の1つをご紹介したいと思います。

i.labの人事制度の特徴:さまざまな雇用形態での働き方があり、お互いのリスペクトの下で誰もがプロフェッショナルとして成果を出す


先述のようにi.labは以前より比較的なフレキシブルな働き方をしてきており、その中の1つにさまざまな雇用形態での働き方があります。

i.labには現在、正社員、業務委託社員、派遣社員、インターン等の働き方があります。その中で正社員と業務委託社員に関しては、同じ職位であれば待遇の差をつけていません。正社員の場合は、週4日以上の勤務が前提で、有給やみらい研究業務という自己投資の機会があるなど細かい違いはあるのですが、同じ職位であれば、少なくとも給与水準の面では待遇の差は出ないようにしています。

これはi.labのスタッフ構成に特徴があります。i.labでは個人で活躍するデザイナーやスタートアップで働くスペシャリストもスタッフとして働いています。例えばデザイナーの場合、i.labの仕事を週に3日やり、個人の創作活動に2日間取り組むことも可能です。そのあたりは本人がどのように働きたいかを尊重し、必要に応じて雇用形態を変更することも可能です。

なお、この制度で会社がきちんと機能するために、スタッフ全員がプロフェッショナルとして、お互いの専門性や得意なことに対してリスペクトをはらいつつ、i.labの仕事で価値を出せると言う前提があります。そのあたりは一緒に働いてみて、お互いにとってメリットのある形になるよう配慮しています。

こういった働き方、世の中では「ギルド型組織」と呼ぶ


i.labは、個人で活躍するデザイナーや他の企業でメインに活躍されているビジネスプロフェッショナルとのコラボレーションを考えて今の制度になっています。こういった考え方自体は世の中にも既にあり、巷では「ギルド型組織」と呼ぶそうです。「ギルド」という言葉、学生時代に世界史で学んだ記憶を思い出される方もいらっしゃるかもしれません。元々は中世欧州の職業別組合を意味する言葉です。当時の職人は親方から職人、見習いまで厳格な職位がありましたが、その親方衆の横のつながりをもって業者間のクオリティ担保を目的に組まれた組織です。

一方で「ギルド型組織」とは、一般的には「専門的なスキルを持つプロフェッショナルがゆるくつながった集団」を指します。デザイナーやITエンジニア、フォトグラファー、ライターなど様々な業種のフリーランスがひとつの看板を掲げ、案件ごとに必要なメンバーがそれに対応するという仕組みを採っている場合が多いようです。

COVID-19の影響で今後加速していくであろう「ギルド型」のチーム組成


ギルド型組織は「少人数の企業だからできるのでは?」という疑問もあるかもしれません。
しかし、大きな企業でもプロジェクトチームやタスクフォースという形で、「ギルド型組織」を組むことはあったのではないでしょうか。この「ギルド型」のチーム組成方式、働き方は、今回のCOVID-19の影響で今後普及するのではないか、と考えています。

その大きな理由としては以下の3点があります。
1. オンラインでの仕事(テレワーク)が一気に普及・経験することで、「組織の壁」が見えにくくなる
2. 別組織・別空間に存在する人間同士が一緒に作業するためのインフラ・制度・働く習慣が徐々に整っていく
3. (コロナの影響で環境が大きく変わってしまったことで)新たな知見や経験を取り入れていかないとタスクが回らない

1.については皆様も既に在宅勤務をしている中で経験されたのではないでしょうか。今まではオフィスで物理的に近い距離に座っている同じ部署の人が、心理的にも近い状態でした。時にはそれが「組織の壁」となることもあったと思います。しかしながら、オンライン下では物理的には皆が等距離になります。上司、同僚、クライアントへの心理的距離はどうでしょうか。今までのコミュニケーションの蓄積があるので、現時点での心理的な距離は必ずしも等しくは無いかもしれませんが、少なくとも今までのような距離感が徐々に薄まってきていることは間違いないと思います。

徐々に心理的距離が等しくなってきたところで2.につながっていきます。そもそもオンラインでの仕事では、日頃の「言わなくたってわかるでしょ?」的なハイコンテクストなコミュニケーションは通用しにくいです。横に同僚がいるから話しやすくて、日頃からのコミュニケーションの積み重ねも加わって仕事も進みやすい環境とは異なり、同じ目的を共有して必要だから適切なコミュニケーションをとって仕事をすることになります。また、そのためのインフラ・制度・習慣が形成されていくと、少なくとも時差の無い日本国内では場所の制約はなくなります。つまり、東京と大阪と福岡の人が同じ目的で一緒に働くことがそれまでより容易になります。

また、今回のコロナ騒動で、チャールズ・ダーウィンの言葉とされる「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である。」という言葉を実感した方も多いのではないでしょうか。

COVID-19という未知のものと対面し、自分たちが成果を上げるためには、それまでの価値観や経験だけではない新たな知見や経験を取り入れていかないといけない状況を経験している最中だと思います。自分たちが成果を上げるためには何が必要かをゼロベースで考える段階にきているのではないでしょうか。

今回のCOVID-19により仕事がなくなってしまった人・リモートワークをせざるを得なくなった人など、人々の仕事や働き方への影響は計り知れません。その中でネガティブな影響をポジティブに捉え直すため、イノベーション活動のようなこれまでにない新しいことに取り組む際にはギルド型のチーム編成を考えてみてはいかがでしょうか。各々の知見・専門性を生かして挑んでいく、そういう働き方がこれから皆さんの実体験になる日もそう遠くないでしょう。

もし、i.labが運用するギルドのようなチームのあり方・プロジェクトの進め方を、イノベーションプロジェクトで取り入れたい、運用のコツを知りたいといったご要望がございましたら、ぜひ一度弊社までお問い合わせください。皆様のチームと目的を共有しながら、精一杯のご協力をさせていただければ幸いです。
寺田(執筆協力、塚原)

• 参照元:
最近よく聞く「ティール組織」とは?近年話題の「組織論」の概念とメリットを解説
スタートアップの事業成長を加速させる「ギルド型ユニット」とは?
Author
寺田知彦

Tomohiko Terada
i.lab Director

東京大学大学院新領域創成科学研究科修士。ESADE Business School (Spain) MBA。キヤノン株式会社にて特許エンジエアの後、外資系戦略ファームにて、自動車業界をはじめ全社戦略立案等のプロジェクトに携る。i.labでは自動車、産業機器、ヘルスケア等の業界のアイデア創出・新規事業開発プロジェクトに携わる。

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