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“Path to Innovation”は、イノベーション・コンサルティング会社i.labが運営するWEBジャーナルです。

イノベーションに関連した、アイデア創出手法やマネジメント方法、さらに、おすすめの論文や書籍について紹介します。また、注目すべき先端技術や社会事象などについても、イノベーションが発生し得る「機会」としての視点から解説していきます。

Methods

大企業で継続的に
新規事業が生まれる
ための組織や仕組み、
人材づくり

イノベーションを目的とした新規事業創出の必要性は多くの企業において広く認識されています。しかし新規事業のアイデアが継続的に創出されるような仕組みが整っている企業は多くありません。そこでi.labでは、様々な日本の大企業に対するコンサルティング・プロジェクトを通じた実践知や東京大学i.schoolでの研究で培った理論知を活かし、クライアントに最も適切な、社内での継続的な新規事業創出のための組織や仕組み、人材づくりを支援しています。その支援方法はクライアントによって様々な形をとります。例えば、2013年度下期には、ITサービス企業のSCSK株式会社(以下、「SCSK」。 http://www.scsk.jp)の社内アイデアコンテスト「イノワングランプリ」の実行支援を行いました。今回のエントリーでは、その「イノワングランプリ」の事例について紹介します。

Yukinobu Yokota / 2015.5.08

Photo by Matthew Wiebe

社内リソースで継続できるイノベーション・プロセスのデザイン


本支援は、ilabの支援終了後もSCSK社内で継続的にコンテスト運営ができること目的として行いました。ilabは、コンテスト初期段階に当たるアイデア募集フェーズにおいて、アイデア創出ワークショップのプロセスのデザインを担当しました。その際、ファシリテーションの腕に頼り過ぎることなく、プロセスでアイデアの質を高めることができるようなデザインを行いました。そして、ワークショップでは、まずi.labがモデルとしてファシリテーションを実施しました。その後、SCSKの事務局メンバーが一連のファシリテーションを実施するというステップを採りました。これにより、i.labの支援終了後も継続的に、高い質のままコンテスト運営をできるような仕組みがSCSK社内に導入されました。また、コンテスト後半では、選抜をくぐり抜けたアイデアについて、役員向けの最終プレゼンに向けたアイデア内容のブラッシュアップや外部アドバイザーとして調査先アレンジを担当しました。

実践事例と共に進める、イノベーションマネジメントの仕組みづくり


発表されたアイデアは審査員の方々にどれも高い評価を受けました。特にi.labら外部アドバイザーからのサポートのない前年と比べて「明らかにアイデアの現実性、具体性が高まっている」というコメントを頂きました。また、コンテスト終了後には、SCSKの事務局メンバーとの振り返りの場を設け、運営についての学びを定着させる、同時に質の高い新規事業創出のための組織や仕組み、人材づくりが継続的に実施できるよう、サポートしました。今後、i.labでは、先端的な事例の創出を支援することに加え、こうしたイノベーションマネジメントの相乗作用を活用することを目指しています。


※本実行支援の内容が日経BP社「NIKKEI DESIGN 2014年度5月号」および「実践デザイン・シンキング」に掲載されました。
Author
横田 幸信

Yukinobu Yokota
i.lab Managing Director

i.schoolディレクター。早稲田大学ビジネススクール(WBS)非常勤講師。九州大学理学部物理学科卒業、九州大学大学院理学府凝縮系科学専攻修士課程修了、東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻博士課程中途退学。修士課程修了後は、野村総合研究所にて経営コンサルティング業務に携わる。その後、イノベーション教育の先駆者である東大発イノベーション教育プログラムi.school(旧名:東京大学i.school)では、2013年度よりディレクターとして活動全体のマネジメントを行っている。イノベーション創出のためのプロセス設計とマネジメント方法を専門として、コンサルティング活動と実践的研究・教育活動を行っている。近著に「INNOVATION PATH」(日経BP社)がある。

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