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“Path to Innovation”は、イノベーション・コンサルティング会社i.labが運営するWEBジャーナルです。

イノベーションに関連した、アイデア創出手法やマネジメント方法、さらに、おすすめの論文や書籍について紹介します。また、注目すべき先端技術や社会事象などについても、イノベーションが発生し得る「機会」としての視点から解説していきます。

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マクロとミクロのハイブリッド視点でみるアフター/ウィズコロナの”未来社会”(2/3回)

i.labでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によって私たちの日常が中長期的にどのように性質変化するのか、「休み」を切り口として設定し、未来社会を考察する社内研究プロジェクトを行いました。1回目は、「シナリオプランニング」と「エクストリームユーザーインタビュー」を用いた検討プロセスについてご紹介しました。2回目の今回は、検討プロセスを経て作成した4つのシナリオをご紹介します。

Hitoshi Suzuki / 2020.12.24

「誰」にとっての「休み」、「誰」についてのシナリオなのか


今回の研究プロジェクトでは、誰もが密接に関わる「休み」というテーマを切り口としているため、まず「誰」にとっての「休み」なのか、という点をある程度絞ることにしました。具体的には、大都市圏という密な環境においては、新型コロナウイルス感染症で人々の生活や価値観に大きな変化が生まれるため、「誰」=「東京圏、または大阪圏に在住のホワイトカラー」と設定しました。その中には、単身者や夫婦のみ(子なし)、子と同居など、様々な家族形態が含まれますが、あくまで住む地域や職種によって共通する行動や価値観の変化に着目し、シナリオを作成していきました。図1:4つの象限のタイトル

「問い」形式でシナリオを作成する


前回(1回目)では、不確実性が高い因子(不確実DF)2つを軸にとり、未来社会を図1のように4つの象限に分類しました。(1回目の「シナリオプランニング」の検討プロセスについて詳しく振り返りたい方は、こちらからご覧ください。)

その後、各象限のタイトルとサマリーを作成し、シナリオについては、4つの各象限で自由に記述するのではなく、予め共通の「問い」を設定し、それに対して答える形で記述していきました。ここからは、「休み」や「出費」に関係する4つの問いごとにシナリオをご紹介していきます。

■シナリオ01:仕事、家事・育児、プライベートが溶け込んだ暮らしを楽しむ(断続的な再流行×オンライン)
仕事や私生活など、一日の大半を自宅で過ごすことが当たり前になっています。その中で、用事も兼ねて日に1〜2回程度、自然を感じながら自宅周辺を散歩することが息抜きになっています。終業後に散歩することが多く、仕事の時間と自分の時間に区切りをつけるのに丁度良いと感じています。

■シナリオ02:オンラインで関係を築きつつ、オフラインで「本物」の体験を楽しむ(収束×オンライン)
オフィスワークかリモートワークかを自由に選択できる状況になっています。PCさえあればどこでも作業可能なため、自宅以外の様々な場所で仕事をすることで気分転換をしています。終業後はその場所で買い物や食事を楽しんだりすることで息抜きをしています。

■シナリオ03:コロナ禍で得た教訓を活かし、これまでよりアクティブに休みを楽しむ(収束×対面)
基本的に出社はするものの、コロナを機にフレックス勤務など社内の仕組みが整ったため、出勤・退勤・休憩の時間を自分でコントロールできています。その中で、家族やパートナー、友人と退社のタイミングを合わせてアフター3(15時)の予定を入れ、息抜きをしています。また、飲み会などに誘われたくない日はあえて退社時間をずらすこともあります。

■シナリオ04:感染リスクを許容できる条件下で思い切り休みを楽しむ(断続的な再流行×対面)
基本的に出社はするものの、会社などの大人数での飲み会はほぼ無くなっています。しかし、仲の良い少数の友人・同僚など、コロナの感染リスクを負ってでも会いたいと思える関係性の人とは、退社後一緒に繁華街に出掛け息抜きをしています。■シナリオ01:仕事、家事・育児、プライベートが溶け込んだ暮らしを楽しむ(断続的な再流行×オンライン)
基本的に平日も休日も自宅で過ごすため、マンネリな生活にならないよう、週末ならではの特別感をあえて作り出すようにしています。例えば、週末は昼間からのんびりお風呂に入ったり、普段なら乾燥パスタを茹でるところを、週末は生パスタを打ってみたりなど、普段と時間をずらしたり、普段より時間をかけたりすることで休みを楽しんでいます。

■シナリオ02:オンラインで関係を築きつつ、オフラインで「本物」の体験を楽しむ(収束×オンライン)
休日は気軽に外出を楽しめる状況ですが、その中でも、日常生活においてオンライン上で知り合った人に対面で会いに行くことが多くなっています。例えば、クラウドファンディングで支援している農家を訪問したり、オンライン講座の実地研修で他の参加者と会ったりしています。

■シナリオ03:コロナ禍で得た教訓を活かし、これまでよりアクティブに休みを楽しむ(収束×対面)
コロナ禍の外出自粛によって醸成された、「やれるうちにやっておこう」という気持ちに後押しされることで、休日は県境や国境を超える移動を伴う旅行を楽しむ人や、映画館やカラオケなどの密な空間でのエンターテイメントを積極的に楽しんでいます。

■シナリオ04:感染リスクを許容できる条件下で思い切り休みを楽しむ(断続的な再流行×対面)
世間一般の自粛ムードを踏まえて、休日は必要以上に外出せず、例えば動画やゲームといった、自宅だからこそできる趣味を前向きに楽しむことで「休み」を感じています。一方たまの外出では、県境を超えるような長距離の旅行はほとんどなく、近場に住む友人と近場で会いショッピングや会話を楽しんでいます。■シナリオ01:仕事、家事・育児、プライベートが溶け込んだ暮らしを楽しむ(断続的な再流行×オンライン)
お盆や年末年始など、みんなで一斉にまとまった日数を休むということ自体が減ってきています。代わりに、年に数回、短期休暇を分散的に取るようになっています。海外旅行への憧れはあるものの、今は国内の馴染みの宿や別荘を繰り返し訪れ、滞在するような休暇のスタイルにシフトしています。

■シナリオ02:オンラインで関係を築きつつ、オフラインで「本物」の体験を楽しむ(収束×オンライン)
日常生活がオンライン中心の分、長期休暇は自分の体にとことん向き合ったり、「本物」の体験に接したりする時間になっています。例えば、普段は瞑想アプリを使っているが休暇はお寺に篭って座禅をしたり、ECで取り寄せて美味しかったグルメを食べに本場に出掛けたりしています。

■シナリオ03:コロナ禍で得た教訓を活かし、これまでよりアクティブに休みを楽しむ(収束×対面)
コロナ禍に醸成された「手に職を付けないとまずい」「孤独は辛い」といった危機感によって、スキル・技能の習得や、人と繋がることを目的とした短期集中イベントに積極的に参加しています。例えば、それらの目的を同時に達成できる、対面・集団型の資格学校・スキルアップセミナーなどの習い事の人気が高まっています。

■シナリオ04:感染リスクを許容できる条件下で思い切り休みを楽しむ(断続的な再流行×対面)
長期休暇は、コロナ禍での自粛疲れや、普段の自宅と職場の往復によるストレスを解消する機会となっており、貧富の差に関係なく多くの人が長距離旅行を楽しんでいます。感染リスクの観点から海外旅行は引き続き厳しい状況にある中で、日常生活との違いを感じるため、自然を感じられる国内の地方へ旅行する人や、キャンプ・グランピングなどのアウトドアを楽しんでいます。■シナリオ01:仕事、家事・育児、プライベートが溶け込んだ暮らしを楽しむ(断続的な再流行×オンライン)
外出時のおしゃれよりも、家庭内での暮らしに意識が向いています。特に、家具やインテリア、音響やディスプレイのような家電製品、毎日の食事などに注目し、日常生活の質をさらにアップさせるモノにお金をかけています。

■シナリオ02:オンラインで関係を築きつつ、オフラインで「本物」の体験を楽しむ(収束×オンライン)
自宅やオフィス以外の移動先や、その移動の途中で仕事をする場面が増えるため、家やオフィス以外でも充実したワーク環境を簡単に構築できるものにお金をかけています。例えば、軽さと性能を両立したPCや折りたたみ式のモニターを購入したり、出先で使えるPC・スマホのバッテリーシェアサービスを頻繁に利用したりしています。

■シナリオ03:コロナ禍で得た教訓を活かし、これまでよりアクティブに休みを楽しむ(収束×対面)
コロナ禍で社会的距離や公衆衛生を強く意識する生活を送った結果、コロナ以前よりもパーソナルスペースはより広く、衛生観念もより潔癖になっており、コロナ収束後もそれは元には戻っていません。そのため、「他者との距離や空間的広さ」、「クリーンネス」の観点でマナーを守るためのモノやコトにお金をかけています。

■シナリオ04:感染リスクを許容できる条件下で思い切り休みを楽しむ(断続的な再流行×対面)
店舗で買い物を楽しむというコロナ以前の状況に戻りつつある中で、店舗という密な環境の中に身を置く点や、人と直接的・間接的に接触する点で、商品を触れて試すという行為自体に感染リスクが伴い続けることになります。そのため、例えばパーソナルな試着・試用専用の店舗やサービスなどの、「安全に商品を試すことのできる体験」が新たに生まれ、それらに対して意識的にお金をかけています。

「休み」を切り口としたアフター/ウィズコロナの未来社会考察。2回目の今回は、4つのシナリオを具体的にご紹介しました。次回(3回目)は、各シナリオにおいてどのような有望な機会領域やアイデアが考えられるのか、考察した例をご紹介します。次回はi.labが不定期配信している「i.lab News letter」から配信予定です。News letterの登録フォームからご登録いただき、次回もぜひご一読ください。

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プロジェクトメンバー:横田幸信、寺田知彦、井上拓、山田哲也、塚原章裕、島村祐輔、島田怜南、鈴木斉
イラスト:島田怜南
Author
鈴木 斉

Hitoshi Suzuki
Business Designer

東北大学工学部機械知能航空工学科卒業、東北大学大学院工学研究科技術社会システム専攻修了。学生インターンを経て、修了後i.labに新卒で入社。在学時に機械工学、技術経営の専攻と並行して、東北大学Field Design Centerにて産学連携のイノベーション人材教育プログラムを複数経験。

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「イノベーション」ここ数年で急激に耳にする機会が増えてきました。行政が主導する取り組みでは、経済政策の文脈の中でイノベーションの創出がコンセプトになっているものが多くあり、新聞などでもイノベーションという文字が多くみられます。書店も最近、専門書籍に加え、イノベーション創出のノウハウのような一般書籍が平積みにされているのをよく見かけますね。また、オンライン上で大学等の教育機関の授業を受けることが出来るMOOCs(Massive Open Online Coursesの略)と総称されるような教育サービスでも、イノベーションをテーマとした授業が多くみられます。こういった授業に対する受講生の注目度も、非常に高いものとなっているようです。では、なぜ、今、イノベーションがこれほど重要だと考えられているのでしょう。今回のエントリーでは、イノベーション旋風の中でも特にホットなトピックの紹介と、イノベーション旋風とも言える社会状況の背景にある本質的な理由について、i.labの考えをご紹介していきたいと思います。