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“Path to Innovation”は、イノベーション・コンサルティング会社i.labが運営するWEBジャーナルです。

イノベーションに関連した、アイデア創出手法やマネジメント方法、さらに、おすすめの論文や書籍について紹介します。また、注目すべき先端技術や社会事象などについても、イノベーションが発生し得る「機会」としての視点から解説していきます。

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フィンランドにおけるイノベーション×デザイン
第1回:ヘルシンキの街

i.lab シニアビジネスデザイナーの寺田です。3月末に研修の一環でフィンランドにおけるイノベーションとデザインを調査してきました。現地で見聞きしたことについて、これから5回に分けて紹介したいと思います。まず第1回目は、ヘルシンキの街について紹介します。

Yukinobu Yokota / 2017.6.30

私はi.labで働き始めて1年近くになります。それ以前はエンジニア、そして戦略コンサルタントとして働いていました。そのため、i.labのプロジェクトでも、アイデア創出(クリエイション)よりはプロジェクトマネジメントやビジネス周り(事業計画や知財戦略)を主に担当しています。仕事上、デザイナーの方々と関わる機会があり、物事の捉え方や発想が全く異なることに驚かされます。特に、私はこれまでデザインに対して深く興味を持ったり理解したりすることはあまり無かったように思います。

 フィンランドを選んだ理由


皆さんはフィンランドと聞いたときに何が思い浮かぶでしょうか。ムーミン、サンタクロース、マリメッコ、オーロラなどが思い浮かぶかもしれません。また、北欧諸国の特徴のように、住みやすい街や国、働く時間が短い、インターネット先進都市などのイメージもあるかもしれません。私は学生時代にノキアの携帯電話を愛用していました。そのため昔から、北欧の小国の一企業がどのようにしてグローバルに展開する大企業になったのかということに興味を持っていました。それが、フィンランドを意識したきっかけです。その後、欧州におけるスタートアップ先端都市としての事例や、イノベーション教育で有名なアアルト大学の事例を聞く機会があり、フィンランドという国に興味が湧きました。また最近日本では、「働き方改革」の流れがある中で、フィンランドの「住みやすい街や国」、「働く時間が短い」というニュースを聞くと、フィンランドでは日本と真逆の社会システムをどのように実現しているのかということにも興味があります。

加えて、私がi.labで働き始めてからデザインに対する感度が上がったこともあり、フィンランドのデザインの魅力を調べてみたいと思うようになりました。近年日本でも北欧デザインが人気になり、だいぶ一般的にも知られてきましたが、デザインがシンプルということ以外に、何がそんなに人を惹きつけるのか探りたいと思っていました。そこで今回、フィンランドにおけるイノベーションとデザインを探るべく、私は首都ヘルシンキへと向かいました。

 厳しくストレスフルなフィンランドの気候


気候が人々のマインドセットに与える影響は大変大きいと思います。私はスペインのバルセロナに住んだことがあるのですが、日本で生まれ育った私にとって、バルセロナの地中海性気候は非常に快適でした。気候から受けるストレスが本当に少なかったです。

一方でヘルシンキはバルセロナのようなストレスの少ない気候と真逆です。非常にストレスが多いです。私がヘルシンキを訪れた3月中旬、ヘルシンキは大抵いつもどんより曇ったままで、気温はマイナス3度からプラス3度の間でした。朝から晩まであまり気温が変化せず、風の有無によって体感気温が大きく違いました。風の強い日には、冷気が顔に突き刺さるような感覚を覚えたり手足が芯まで冷えたりと、身体的にも精神的にも堪えました。

 移動に対してストレスレスなヘルシンキ中心部


今回私はヘルシンキの中心部(中央駅周辺とカンピ地区)に滞在しました。ヘルシンキの中心部はトラムと地下鉄の本数が多く、中心部を移動するのも郊外に行くのもとても便利です。

とくにトラムの便利さには驚きます。ヘルシンキには、他の欧州の都市と同じように、市内の公共交通が乗り放題のdayチケットがあります。これを買うとヘルシンキ市内であれば、地下鉄もトラムもバスも乗り放題です。改札はなく(ただし検札は頻繁にあリます)、一日券を持っていれば、来た乗り物に飛び乗って1〜2停留所だけ移動して降りるといった使い方も可能です。この方法でトラムに乗り、車内で立って1〜2停留所移動するだけだと、瞬間移動したような感覚になります。これは地下鉄のような駅のホームへの縦移動がなく平面移動だけであること、加えて車両の多くが低床式車両のためホームから車内まで段を上がる動作すら不要なこと、dayチケットがあればトラム内で改札を受ける必要がないことなど、複合的に要因があると思います。

トラム以外にも、街にはストレスなく暮らせる仕組みがたくさんあります。バリアフリーが徹底されている中央駅、到着までの時間が表示される地下鉄の駅、エレベーターとスロープが配備された店や博物館など。ただ、街中にある多くのフィンランド語のみの看板とストックマンというデパートの階層構造は最後まで理解できませんでした。

次回は、アアルト大学における起業家マインド育成の例としてアアルトベンチャープログラム(AVP)についてご紹介したいと思います。お楽しみに。

 

 

 

 
Author
横田 幸信

Yukinobu Yokota
i.lab Managing Director

i.schoolディレクター。早稲田大学ビジネススクール(WBS)非常勤講師。九州大学理学部物理学科卒業、九州大学大学院理学府凝縮系科学専攻修士課程修了、東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻博士課程中途退学。修士課程修了後は、野村総合研究所にて経営コンサルティング業務に携わる。その後、イノベーション教育の先駆者である東大発イノベーション教育プログラムi.school(旧名:東京大学i.school)では、2013年度よりディレクターとして活動全体のマネジメントを行っている。イノベーション創出のためのプロセス設計とマネジメント方法を専門として、コンサルティング活動と実践的研究・教育活動を行っている。近著に「INNOVATION PATH」(日経BP社)がある。

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Thoughts

日本文化に根ざした
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日本発イノベーションの
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Yukinobu Yokota
2014.8.25

みなさん、イノベーションと聞いて思い出すのは何でしょうか。 おそらく少なくない方々は、企業で言うとGoogleやApple、また、それに関わる製品やサービスなど思い浮かべるのではないでしょうか。日本発のものとしては、かつてSonyが生み出した音楽を持ち歩くというコンセプトの製品「ウォークマン」は、世界に衝撃を与え、確かにイノベーションの必要条件となる人々の価値観や行動を変化させました。 最近のイノベーション創出のプロセスでは、技術研究や製品開発、デザイン開発のみならず、もっと上流行程にある「音楽を持ち歩く」というような、製品やサービスの「コンセプト」そのものを生み出す、または作り替える部分に注目が集まっています。 今回は、そんなイノベーションに欠かせない「コンセプト」とは何か、なぜ今それが必須なのかについてご紹介したいと思います。

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Yukinobu Yokota
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