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“Path to Innovation”は、イノベーション・コンサルティング会社i.labが運営するWEBジャーナルです。

イノベーションに関連した、アイデア創出手法やマネジメント方法、さらに、おすすめの論文や書籍について紹介します。また、注目すべき先端技術や社会事象などについても、イノベーションが発生し得る「機会」としての視点から解説していきます。

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フィンランドにおけるイノベーション×デザイン
第3回:アアルト大学における起業家マインド育成〜体験編〜

前回は、アアルト大学における起業家マインド育成への取組みのうち、アアルトベンチャープログラム(AVP)について紹介しました。第3回目の今回は、AVPが主宰するワークショップについてご紹介します。

Tomohiko Terada / 2017.11.09

アアルト大学における起業家マインド育成を実際に体験する良い機会だと思い、AVPのワークショップに参加しました。今回はその体験についてご紹介します。AVPが実際にどのようなワークショップを行っているのか、みなさんの参考になれば幸いです。

AVPのワークショップ(正式名称はAVP Wednesday Workshop)は、AVPが提供する定期的なイベントの1つです。ワークショップといっても、付箋紙を使ってアイデア出しなどをするのではなく、産業界で活躍する方々を講師として招いて2時間程度の双方向な授業を行う、勉強会に近いイベントです。

AVPのワークショップの特徴1:オープン


AVPのワークショップの一つ目の特徴は、オープンイベントであることです。ワークショップには学内のみならず学外からも自由に参加できます。

私が訪れた時、AVPを紹介してくれたMyunggi ‘MJ’ Suh氏から、「翌週、水曜日の午後にワークショップがあリますよ」と誘われました。「誰でもウェルカムなのでぜひどうぞ」と、私のような外部の人であっても気軽に誘ってくれ、話していてとてもポジティブな印象を受けました。日本だと東京大学や慶應大学のイノベーション関連のイベントに自由に参加できる感覚に近いでしょうか。

AVPのワークショップの特徴2:双方向の勉強会


AVPのワークショップの二つ目の特徴は、双方向の講義形式という点です。私が参加した会のテーマは、顧客の購買行動(Consumer Buying Behavior) でした。

参加者には事前資料が渡されました。これを参考として読んでくるように言われますが、ディスカッション・ポイントは明示されていませんでした。

ご参考までに、事前資料は以下のページの記事でした。

・The importance of consumer buying behavior

http://www.marketing91.com/importance-consumer-buying-behavior/

また、ワークショップの最後にはより深く学びたい人向けに、参考図書が紹介されました。

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参加者は全部で10名で、まずは自己紹介をしました。私と同じテーブルにはエンジニアのフィンランド人女性がいました。彼女は大学を出てITエンジニアとして数年働いており、会社を辞めて起業するかどうかを迷っているとのことでした。平日の昼間の時間帯にもかかわらず参加していたので、仕事に行かなくて平気なのかと心配になりましたが、そのあたりフレキシブルな職場環境なのでしょう。

ワークショップの内容は顧客の購買行動の基礎的な部分についてでした。ただ、単に教科書の内容を講義するのではなく、コンサルタントである講師の体験談や、参加者が実際に悩んだ体験などを盛り込みながら進めていきましたので「すぐそこにある」実例を聞きながら学ぶことができ、とても良い体験でした。なお、ワークショップはフィンランド語ではなく、全て英語で行われました。

ミニMBAとしての役割


今回ワークショップに参加して気付いたことは、ワークショップがミニMBAとしての機能を果たしているということです。マーケティングやファインアンスがテーマとなることが多いとのことです。実際に起業や新規事業を考え始めると、様々なビジネスの知識が不足していると感じることが多くあるため、ワークショップを開催することで、多くの学生だけでなく実際の起業家にスポット的に知識を提供しているようです。

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第4回はアアルト大学が近年取り組み始めた、政府機関へのデザイン思考浸透のコース(Design for Government)についてご紹介します。
Author
寺田知彦

Tomohiko Terada
i.lab Business Designer

東京大学大学院新領域創成科学研究科修士。ESADE Business School (Spain) MBA。キヤノン株式会社にて特許エンジエアの後、外資系戦略ファームにて、自動車業界をはじめ全社戦略立案等のプロジェクトに携る。i.labでは自動車、産業機器、ヘルスケア等の業界のアイデア創出・新規事業開発プロジェクトに携わる。

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フィンランドにおけるイノベーション×デザイン
第1回:ヘルシンキの街

Tomohiko Terada
2017.6.30

i.lab シニアビジネスデザイナーの寺田です。3月末に研修の一環でフィンランドにおけるイノベーションとデザインを調査してきました。現地で見聞きしたことについて、これから5回に分けて紹介したいと思います。まず第1回目は、ヘルシンキの街について紹介します。

Thoughts

日本文化に根ざした
新しいコンセプトこそが、
日本発イノベーションの
種になる

Yukinobu Yokota
2014.8.25

みなさん、イノベーションと聞いて思い出すのは何でしょうか。 おそらく少なくない方々は、企業で言うとGoogleやApple、また、それに関わる製品やサービスなど思い浮かべるのではないでしょうか。日本発のものとしては、かつてSonyが生み出した音楽を持ち歩くというコンセプトの製品「ウォークマン」は、世界に衝撃を与え、確かにイノベーションの必要条件となる人々の価値観や行動を変化させました。 最近のイノベーション創出のプロセスでは、技術研究や製品開発、デザイン開発のみならず、もっと上流行程にある「音楽を持ち歩く」というような、製品やサービスの「コンセプト」そのものを生み出す、または作り替える部分に注目が集まっています。 今回は、そんなイノベーションに欠かせない「コンセプト」とは何か、なぜ今それが必須なのかについてご紹介したいと思います。