アアルト大学における起業家マインド育成を実際に体験する良い機会だと思い、AVPのワークショップに参加しました。今回はその体験についてご紹介します。AVPが実際にどのようなワークショップを行っているのか、みなさんの参考になれば幸いです。
AVPのワークショップ(正式名称はAVP Wednesday Workshop)は、AVPが提供する定期的なイベントの1つです。ワークショップといっても、付箋紙を使ってアイデア出しなどをするのではなく、産業界で活躍する方々を講師として招いて2時間程度の双方向な授業を行う、勉強会に近いイベントです。
AVPのワークショップの特徴1:オープン
AVPのワークショップの一つ目の特徴は、オープンイベントであることです。ワークショップには学内のみならず学外からも自由に参加できます。
私が訪れた時、AVPを紹介してくれたMyunggi ‘MJ’ Suh氏から、「翌週、水曜日の午後にワークショップがあリますよ」と誘われました。「誰でもウェルカムなのでぜひどうぞ」と、私のような外部の人であっても気軽に誘ってくれ、話していてとてもポジティブな印象を受けました。日本だと東京大学や慶應大学のイノベーション関連のイベントに自由に参加できる感覚に近いでしょうか。
AVPのワークショップの特徴2:双方向の勉強会
AVPのワークショップの二つ目の特徴は、双方向の講義形式という点です。私が参加した会のテーマは、顧客の購買行動(Consumer Buying Behavior) でした。
参加者には事前資料が渡されました。これを参考として読んでくるように言われますが、ディスカッション・ポイントは明示されていませんでした。
ご参考までに、事前資料は以下のページの記事でした。
・The importance of consumer buying behavior
http://www.marketing91.com/importance-consumer-buying-behavior/
また、ワークショップの最後にはより深く学びたい人向けに、参考図書が紹介されました。
参加者は全部で10名で、まずは自己紹介をしました。私と同じテーブルにはエンジニアのフィンランド人女性がいました。彼女は大学を出てITエンジニアとして数年働いており、会社を辞めて起業するかどうかを迷っているとのことでした。平日の昼間の時間帯にもかかわらず参加していたので、仕事に行かなくて平気なのかと心配になりましたが、そのあたりフレキシブルな職場環境なのでしょう。
ワークショップの内容は顧客の購買行動の基礎的な部分についてでした。ただ、単に教科書の内容を講義するのではなく、コンサルタントである講師の体験談や、参加者が実際に悩んだ体験などを盛り込みながら進めていきましたので「すぐそこにある」実例を聞きながら学ぶことができ、とても良い体験でした。なお、ワークショップはフィンランド語ではなく、全て英語で行われました。
ミニMBAとしての役割
今回ワークショップに参加して気付いたことは、ワークショップがミニMBAとしての機能を果たしているということです。マーケティングやファインアンスがテーマとなることが多いとのことです。実際に起業や新規事業を考え始めると、様々なビジネスの知識が不足していると感じることが多くあるため、ワークショップを開催することで、多くの学生だけでなく実際の起業家にスポット的に知識を提供しているようです。
第4回はアアルト大学が近年取り組み始めた、政府機関へのデザイン思考浸透のコース(Design for Government)についてご紹介します。